制度・税務

食事補助の非課税枠7,500円 実務対応ガイド【2026年4月改正】

公開 2026年9月16日 /更新 2026年9月17日

食事補助の非課税枠7,500円 実務対応ガイド【2026年4月改正】

結論から。会社が負担する食事補助を非課税にする条件は2つだけです。①従業員が食事価額の50%以上を自己負担していること、②会社負担額が月7,500円(税抜)以下であること。2026年4月の税制改正でこの上限が月3,500円から7,500円に引き上げられ、年間で最大90,000円まで、従業員に所得税をかけずに食事を補助できるようになりました。

一方で、この2要件はどちらか一方でも外れると会社負担額の「全額」が給与として課税されます。「超過分だけ課税」ではない点が、実務で最も誤解されやすいポイントです。本記事では、要件の正確な中身、金額設計の考え方、よくある失敗パターンまでを総務・経理の実務目線で整理します。

2026年4月改正で何が変わったか

食事補助(会社が従業員の食事代の一部を負担する制度)の非課税上限は、長らく月3,500円(税抜)に据え置かれてきました。2026年4月1日以後に支給する食事からこの上限が月7,500円(税抜)に引き上げられ、年間では最大90,000円まで非課税で提供できます。

改正前 改正後(2026年4月〜)
会社負担の非課税上限 月3,500円(税抜) 月7,500円(税抜)
年間換算 42,000円 90,000円
従業員の負担要件 食事価額の50%以上 変更なし(50%以上)

物価上昇で「3,500円ではランチ数回分にしかならない」状態が続いていたため、この改正を機に食事補助の導入・増額を検討する企業が増えています。

非課税となる2つの要件

国税庁のタックスアンサーNo.2594「食事を支給したとき」が示す要件は次の2つで、両方を同時に満たす必要があります。

要件① 従業員が食事価額の50%以上を負担している

国税庁は「役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること」と示しています。判定は「消費税および地方消費税の額を除いた金額をもって行う」とされているため、税抜で計算します。例えば税抜750円の弁当なら、従業員が375円以上を自己負担していれば要件を満たします。

要件② 会社負担額が月7,500円(税抜)以下

会社負担額 = 食事価額 − 従業員の自己負担額。国税庁はこの額が「1か月当たり7,500円以下」であることを条件としています。判定は要件①と同じく税抜金額で行います。

計算例で確認する

OKの例。税抜750円の弁当を月20日提供し、会社が1食あたり375円を補助する場合。従業員負担は375円(負担率50%)で要件①クリア。会社負担は月7,500円(375円×20日)で要件②もちょうど上限内。非課税で処理できます。

NGの例。同じ税抜750円の弁当に、会社が1食あたり500円を補助する場合。従業員負担は250円(負担率33%)となり要件①を満たしません。この場合、会社負担額の月10,000円(500円×20日)が全額、給与として課税対象になります。

直感に反しますが、補助額を増やすほど非課税要件を外れやすくなる構造です。「手厚くしたら課税になった」は最も典型的な失敗パターンで、金額設計は「弁当単価 × 50% × 月間利用日数」から逆算する必要があります。要件を外す典型例は外れやすい5パターンと対処法にまとめました。

御社の在籍人数・弁当単価・補助額で要件を満たすかは、福利厚生経費シミュレーターでその場で確認できます(非課税要件の自動チェック付き)。

要件を外れるとどうなるか

  • 会社負担額の全額が給与(経済的利益)として課税対象になります。超過分だけの按分はありません
  • 給与課税となった場合、源泉徴収の対象となり、年末調整・給与計算への反映が必要です。勘定科目の切り替えと仕訳は食事補助の経理処理と仕訳例で解説しています
  • 社会保険(現物給与)の扱いは、所得税とは別の基準で判定されます。都道府県ごとに定められた現物給与の価額に基づく計算になるため、「所得税は非課税だが社会保険では報酬に算入される」ケースがあり得ます。詳細は食事補助と社会保険の関係をご覧ください

実務での制度設計 5つのチェックポイント

  1. 現金支給にしない。非課税の対象は、食事そのものの提供(社食・仕出し・宅配弁当・食事チケット等の現物)です。食事「代」を現金や給与への上乗せで支給した場合、国税庁は「深夜勤務者に夜食の支給ができないために1食当たり650円以下の金額を支給する場合を除き、補助をする全額が給与として課税されます」としています
  2. 金額は「単価×50%×稼働日」から逆算する。補助額を先に決めるのではなく、提供する食事の単価から要件を満たす補助上限を計算します
  3. 自己負担の徴収方法を決める。給与天引き・その場決済など。当社hOuRの場合は、会社が補助分(最大50%または月7,500円)を負担し、残額は従業員がクレジットカードでその場決済、会社へは月末締めで補助分のみを請求書払いにする方式です。従業員ごとの利用実績と負担割合が自動で記録されるため、非課税要件の証跡管理と経理処理が一体になります
  4. 利用実績を記録する。「月7,500円以下」は実績ベースの判定です。誰がいつ何食利用し、会社負担がいくらだったかを従業員別・月別に集計できる仕組みが必須です
  5. 規程を整備する。福利厚生規程(または賃金規程)に、対象者・補助内容・自己負担のルールを明記します。恣意的な運用は税務調査時のリスクになります

どの提供方式(食事券型・宅配社食型・設置型)を選ぶかで、3と4の手間は大きく変わります。方式ごとの違いは食事補助サービス3方式の比較で整理しました。

よくある質問

Q. パート・アルバイトにも適用できますか?

A. 適用できます。非課税要件は雇用形態を問いません。ただし特定の従業員だけを優遇する運用は給与課税と判定されるリスクがあるため、対象範囲は規程で明確にしておくべきです。

Q. 残業時に支給する食事はどう扱われますか?

A. 国税庁は「残業または宿日直を行うときに支給する食事は、無料で支給しても給与として課税しなくてもよいことになっています」としています。本記事の2要件とは別枠の扱いなので、日常の昼食補助とは区別して記録・管理してください。

Q. 月の途中で上限を超えそうな場合は?

A. 判定は月単位の実績です。会社負担の月間合計が7,500円(税抜)を超えた月は、その月の会社負担額全額が課税対象になります。利用日数が多い従業員の補助単価を抑える、月間の補助上限をシステム側で制御する、といった設計で防げます。

参考にした一次情報


※本記事は2026年9月時点の情報に基づく一般的な解説です。個別の適用可否や税務・社会保険の処理は、顧問税理士・社会保険労務士にご確認ください。