制度・税務

食事補助の経理処理と仕訳例【2026年4月改正対応】

公開 2026年9月16日 /更新 2026年9月17日

食事補助の経理処理と仕訳例【2026年4月改正対応】

食事補助の勘定科目は、非課税要件(従業員50%以上負担・会社負担月7,500円以下)を満たしていれば福利厚生費、外れると会社負担額の全額が給与です。科目が変わるだけでなく、給与になれば源泉徴収・社会保険の実務が発生するため、経理処理の設計は要件管理とセットで考える必要があります。

本記事では、代表的な運用パターン別の仕訳例と、月次の上限管理、2026年4月改正をまたぐ実務の注意点を整理します。要件そのものの解説は実務対応ガイドを参照してください。

基本の仕訳: 要件を満たす場合

例として、税抜750円の弁当を従業員が利用し、会社が375円を補助、従業員負担375円を給与から天引きするケース(金額は1食分、消費税は説明簡略化のため省略)。以下の仕訳では一般的な科目名を使っています。自社の勘定科目体系に合わせて読み替えてください。

弁当代の支払時(業者へ750円)

借方 金額 貸方 金額
福利厚生費 375円 現金預金 750円
立替金(または預り金) 375円

給与支給時(従業員負担分の天引き)

借方 金額 貸方 金額
給与 (総額) 立替金 375円
現金預金 ほか (差引額)

会社負担分だけが福利厚生費として費用計上され、従業員負担分は会社の損益を通らない。これが基本形です。

従業員がその場で決済する方式の場合

近年の宅配社食や食事券型のサービスでは、従業員が自己負担分をその場でカード決済し、会社には補助分だけが請求される方式が増えています。当社hOuRもこの方式で、会社への請求は月末締めの請求書払い(補助分のみ)です。この場合、会社側の仕訳は月1回で済みます。

  • 月末(請求書受領時): 借方 福利厚生費 / 貸方 未払金(当月の補助合計額)
  • 支払時: 借方 未払金 / 貸方 普通預金

従業員負担分がそもそも会社の帳簿を通らないため、立替金・預り金の管理と天引き処理が丸ごと不要になります。給与計算への連携作業が消える分、月次の経理負荷は天引き方式より明確に軽くなります。方式ごとの違いは食事補助サービス3方式の比較で整理しています。

要件を外れた場合の処理

会社負担額の全額が給与(現物給与)扱いになります。

  • 勘定科目: 福利厚生費ではなく給与(または給与手当)として計上します
  • 源泉徴収の対象: 該当月の給与に経済的利益として合算し、源泉税を計算します
  • 社会保険: 現物給与としての報酬算入判定が別途必要です(社会保険との関係参照)

「後から要件を外れていたことが判明」が最も手間のかかるパターンで、源泉の再計算・年末調整での是正が必要になります。月中に上限へ近づいたら検知できる仕組み(利用実績の従業員別・月次集計)が経理実務の生命線です。どういう運用変更で要件を外しやすいかは外れやすい5パターンと対処法にまとめました。

消費税の取り扱い

会社負担分(福利厚生費)は、課税仕入れとして仕入税額控除の対象になるのが一般的です。税率は取引の中身で分かれます。弁当の配達のように飲食料品の譲渡にあたるものは軽減税率8%、店内飲食(外食)や役務提供にあたるものは10%というのが軽減税率制度の基本的な区分ですが、実際の適用は契約形態や提供の実態によって変わります。月次処理では請求書の税率区分に従い、判断が分かれそうな形態は導入時に顧問税理士へ確認してください。

なお非課税要件の判定(50%・7,500円)は税抜金額で行います。請求書・利用明細のどの金額が税抜かを、導入時に業者へ確認しておくと月次処理で迷いません。

2026年4月改正をまたぐ実務

  • 上限の引き上げ(月3,500円から7,500円)は、2026年4月1日以後に支給する食事から適用です。3月以前の分を遡って増額適用はできません
  • 既存制度を増額改定する場合は、福利厚生規程の改定(補助額・自己負担ルール)、従業員への周知、給与計算・上限管理の設定値変更、の順で進めます。規程改定を後回しにして運用だけ先に変えると、税務調査時に恣意的な運用と見られるリスクがあります
  • 経理側の設定値(月次上限チェックの閾値)を3,500円のまま放置していないかも確認してください

よくある質問

Q. 従業員負担分を「売上」に計上すべきですか?

A. 契約の建て付けによって変わります。会社が食事を仕入れて従業員に販売する形(社内販売)を取るなら売上計上の論点が生じますし、業者から従業員への直接提供で会社は補助分のみを負担する形なら、従業員負担分は会社の損益を通らないという整理になります。まず契約書と請求の流れで「誰が誰に売っているか」を確認し、判断が分かれそうなら顧問税理士に確認してください。

Q. 月の途中で退職した従業員の補助はどう処理しますか?

A. 判定は月ごとの実績なので、在籍期間中の利用実績で通常どおり判定・計上します。日割りの特例はありません。

Q. 上限7,500円を超えた月だけ給与課税にすれば、他の月は非課税のままですか?

A. はい、判定は月単位で独立しています。超えた月の会社負担額全額が課税対象となり、他の月には影響しません。ただし毎月のように超えるなら、制度設計自体の見直しが先です。

参考にした一次情報


※本記事は2026年9月時点の情報に基づく一般的な解説です。勘定科目の運用・消費税区分・源泉の処理は会社の状況により異なるため、顧問税理士にご確認ください。